相続・遺言について

相続について

 権利意識の高まっている現代社会において、遺言が無かった場合に、遺産に関する権利を巡る争いは、年々増えてきています。遺産の分け方について疑問を感じられている、相続人間での遺産分割の方法に納得がいかれない場合……、当事務所までご相談ください。

法定相続分

 相続人の範囲、相続分の割合は、民法の規定によって、決まっており、下図のようになります。

相 続 人 相 続 分
配偶者と子 配偶者/2分の1、子/2分の1
配偶者と父母(子なし) 配偶者/3分の2、父母/3分の1
配偶者と兄弟姉妹(子、父母なし) 配偶者/4分の3、兄弟姉妹/4分の1
配偶者のみ(子、父母、兄弟姉妹なし) 配偶者/全部
配偶者なし(子、父母、兄弟姉妹あり) 子/全部

遺産分割の方法

 遺言がない場合には、上記のように、法定相続分を目安として、協議による遺産分割をすることになります。遺産分割の協議のためには、相続人全員が集まって話し合い、全員の合意を得る必要があります。1人でも、 遺産分割協議に反対する相続人がいれば、協議は成立しません。
 その場合の解決策(法的手段)として、調停による遺産分割と遺産分割審判による分割の二種類があります。どちらも、家庭裁判所で取り扱われますが、相続人間の合意によって成立するのが調停、審判官(裁判官)の審判によって成立するのが、審判です。当事者は、どちらの申立てをすることも可能ですが、先に審判を申立てた場合でも、裁判所の判断で、調停に付されるのが一般的です。

  • 相続分が増えたり(寄与分)、相続分が減ったりする場合(特別受益、生前に贈与を受けている場合等)がありますので、注意が必要です。
  • 相続財産が借金だけの場合等には、相続放棄が可能です。被相続人が亡くなったことを知ったときから、3か月以内に、家庭裁判所において手続が必要です。
  • 遺言書で、相続分が無い場合でも、配偶者、子、直系尊属(兄弟姉妹にはありません)であれば、最低限の取り分を主張できます(遺留分、1年の時効期間があります)。
  • 相続税についても、注意が必要です。平成27年1月1日以降の相続からは、相続税の基礎控除は下記のとおり、改正になりました。

    改正前/5000万円 + 1000万円 × 法定相続人の数
    改正後/3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

     相続税及び相続財産の活用に関しましては、提携する税理士がおりますので、お気軽にご相談ください。

遺言について

 遺言は、自らが生涯をかけて築き上げて守ってきた大切な財産を、有効に活用してもらうために行う遺言者の意思表示です。
 遺言が無かったために、相続をめぐり、親族間で争いが起こることは、決して少なくありません。生前、仲が良かったとしても、遺言が無かったばかりに、争いになるような悲劇も起こり得ます。
 遺言は、このような悲劇を防止するために、自らが残した財産(借金も)の帰属先を決めて、相続を巡る争いの予防のために有効です。

遺言書の形式は、3種類あります。

1、自筆証書遺言

 遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自署(ワープロは無効です)し、印を押せば完成です。費用がかかりませんし、遺言の存在を秘密にしておけます。ただし、見つかった後に、隠匿されたり、破棄されたり、内容を変えられたり(偽造、変造)する可能性が高く、そもそも相続人によって見つけられない場合も大いにあり得ます。また、遺言者の死亡後に、家庭裁判所において、検認や開封の手続を取らなければなりません。
 作成後、封をして、「亡くなってから開封してください」と封筒に記載して、信頼できる方に預けておくのが一番良い方法ではないでしょうか。

2、秘密証書遺言

 遺言の内容を秘密にして、自筆証書遺言よりも安全にしておく方法です。遺言者が、作成した内容(ワープロでも可です)に封をした封書を、公証人と証人2人が確認して、自己の遺言であることを伝えれば、公証人が、封書上に日付と遺言者のものであることを記載して、完成します。
 遺言の内容を秘密にできるメリットはありますが、公証人が、内容を確認することができませんので、内容に、法律的な不備がある場合は、争いになり、無効になる可能性があります。
 また、自筆証書遺言と同様に、遺言者の死亡後、家庭裁判所において検認手続が必要です。

3、公正証書遺言

 証人2人以上(相続人、相続人の配偶者、未成年者はなれません)が立ち会い、遺言者が、遺言の趣旨を公証人に伝えて、公証人がこれを筆記して読み聞かせ、遺言者と証人が筆記の正確なことを承認して、公証人が完成させる遺言です。手数料がかかりますが、遺言の存在や内容を明確にさせておくことができますし、滅失、偽造のおそれが無く、検認手続も不要なので、一番おすすめの方法です。

 遺言は、人の最後の意思を尊重するものですので、自由に撤回できますが、遺言を撤回する場合は、遺言の方式に従わないといけません(新たに遺言書を作成しなければならないということです)。
 15歳以上であれば、遺言を作成できますが、実際には作成されてない方がほとんどでしょうし、死期が近くなってから作成されるというのが現実です。なお、後見制度を利用されている場合、遺言の時に、意思能力を有していろときのみ、有効な遺言となります(医師2人以上の立会が必要です)ので、ご注意ください。

 遺言について、ご不安な方は、是非ご相談ください。

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